結論: 栃木でテレワークを始めるなら、県の事例集を参考に、対象業務、情報共有、勤務ルールの3点を整えます。
理由: 県内の公開事例では、受注情報の共有や総務部門の業務継続と併せて、勤怠管理と規程の整備が課題になっています。
実行: 社外で進めたい業務を1つ選び、必要な資料と承認者、出社側に残る作業を書き出します。
注意: 2023年度の導入支援事例集は過年度の資料です。2026年度の募集案内や現在の導入実績とは区別してください。
対象読者:栃木県内の中小企業の経営者、総務担当者、現場の管理職
今日やること:前回の受注処理か月次事務をたどり、会社に戻らないと進まない箇所を確認する
工場や倉庫の仕事は自宅に持ち帰れません。
ただ、受注内容の確認や月次の事務まで、すべて同じ場所で行う必要があるでしょうか。
在宅の担当者から頼まれて、出社した人が紙を探し、写真を送るだけでは、仕事の場所を変えても手間が移るだけです。
栃木県のテレワーク導入事例集には、現物を扱う業種でも、業務を分けて社外勤務を検討した例があります。
そこで整えていたのは、通信環境だけではありません。
誰がどの情報を見て、勤務時間をどう記録するかという取り決めも含まれています。
以下は2026年9月15日に確認した県と厚生労働省の公開資料に基づく整理です。
結論:テレワークの対象は業種より業務で分ける
全員を在宅勤務に変えることを、導入の条件にする必要はありません。
厚生労働省のガイドラインは、テレワークが難しいと考えられる業種でも、個別の業務なら実施できる場合があるとしています。
同時に、出勤する人だけに業務が偏らないよう注意を求めています。
ここでいうテレワークは、情報通信技術を使って、通常の事業場の外で働くことです。
自宅での在宅勤務に加え、別のオフィスを使うサテライトオフィス勤務、外出先などで行うモバイル勤務があります。
県の事例集も、この3形態を紹介しています。
まずは自社の仕事を、次のように分けます。
表は県の事例集と国のガイドラインを踏まえた編集部の整理であり、制度上の区分ではありません。
| 業務の状態 | 検討の方向 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 現物や現場設備を扱う | 現地での作業を残す | 安全確保と現地担当者の配置 |
| データを見れば進められる | 社外勤務の候補にする | 資料へのアクセスと承認方法 |
| 紙や口頭連絡に依存する | 手順を整えてから判断する | 誰が転記し、原本を管理するか |
出典:栃木県/令和5(2023)年度テレワーク導入事例集、厚生労働省/テレワークガイドライン

例えば受注処理なら、商品の積み込みと、注文内容の確認は別の作業です。
確認に使う情報を関係者が安全に共有できれば、後者は社外勤務の候補になります。
一方、出社した人が毎回注文票を撮影して送る運用なら、その撮影時間も導入後の負担として数える必要があります。
明日からできること:社外で進めたい業務に印を付けると同時に、その業務を支える出社側の作業も書き出す。
県の事例集にある受注共有と総務業務の違い
紙をなくすだけで、仕事が完結するとは限りません。
県の2023年度事例集では、宇都宮市の卸売業が、受注一覧をクラウド上で共有し、その情報から配送準備を進める仕組みを紹介しています。
営業担当者が社内で紙の書類を作り、情報を伝え直す手間を減らす取組です。
この事例では、販売管理の仕組みと併せて、テレワーク規程、勤務時間の管理、オンラインで話す機会も整えています。
ただし、導入後に複雑化したデータベースの管理など、新たな課題も記載されています。
共有できるようになった後も、データの維持管理は残ります。
これに対し、同じ事例集にある那須町の林業の例は、総務部門に対象を絞った導入計画です。
感染症や災害が起きても、給与や財務の仕事を続けることを目的にしています。
森林の現場作業を遠隔化する話とは区別が必要です。
後者では、社内サーバーのクラウド化に加え、連絡手段、勤怠管理、テレワーク規程を整備するとされています。
資料には2024年9月の開始予定が示されていますが、これは資料作成時点の計画であり、現在の実施状況を確認したものではありません。
出典:栃木県/令和5(2023)年度テレワーク導入事例集(冊子5ページ、7ページ)
受注共有なら、営業担当者から配送担当者への情報の受け渡しを点検します。
総務業務の継続なら、事務所に入れないときにも、必要なデータと承認者へ連絡できるかを確かめます。
目的が違えば、試すべき場面も変わります。
明日からできること:「会社に戻る回数を減らす」「出社できない日も給与事務を続ける」など、導入目的を実際の業務に結び付けて決める。
始業前に決める勤怠と情報共有
自宅からシステムに接続できても、それだけで勤務ルールは整いません。
厚生労働省は、対象者や実施場所、費用負担、労働時間の管理、中抜け時間、通常時と緊急時の連絡方法などを、あらかじめ労使で話し合うよう求めています。
確認表は、ガイドラインを踏まえて編集部が作成したものです。
| 点検項目 | 決めておく内容 |
|---|---|
| 対象と場所 | どの業務を、誰が、どの場所で行うか |
| 勤怠 | 始業と終業の記録方法、休憩と中抜けの扱い |
| 費用 | 端末の貸与、通信費などの負担と精算方法 |
| 情報共有 | 正本の保存先、閲覧権限、承認者、更新担当 |
| 連絡 | 通常の連絡手段、緊急連絡先、時間外の対応 |
| 作業環境 | 机と椅子、画面の見やすさ、健康相談の連絡先 |
勤務時間は、チャットの既読だけから判断しないようにします。
既読になっていても、その前後の実際の労働時間までは分かりません。
ガイドラインでは、パソコンの使用記録などの客観的な記録を基礎とする把握方法や、自己申告を用いる場合の適切な運用を示しています。
出社する人との公平性も、利用回数だけでは判断できません。
在宅勤務をする人のために電話対応や郵便処理が特定の人へ集中すれば、その分の担当調整が必要です。
対象者の選定は雇用形態の違いだけで決めず、業務上の条件と本人の意向を含めて話し合います。

通信環境については、会社が認めた端末と保存先を使い、閲覧権限や端末紛失時の連絡先も決めることを編集部は勧めます。
社外から見られる範囲が不明なまま、私用メールへ書類を転送して試す方法は避けます。
出典:厚生労働省/テレワークガイドライン(導入時の留意点、費用負担、労働時間管理、安全衛生)
明日からできること:確認表のうち、社内で答えが揃っていない項目に担当者を付け、試行前に決める。
AIを加える前に短期間の試行で確かめること
新しいAIサービスを入れなくても、保存先と承認方法を変えるだけで進む業務はあります。
テレワークの導入とAIの導入を同時に必須にすると、どちらの変更が役立ったのか判別しにくくなります。
まずは共有と連絡の手順が機能するかを確かめます。
例えば、対象業務を1つに絞り、2週間試す方法が考えられます。
これは編集部の提案であり、公的制度で定められた期間ではありません。
月次処理のようにその期間内に発生しない仕事は、実際の処理日を含むように期間を調整します。
試行前後で記録するのは、次の項目です。
- 処理の待ち時間:承認や資料確認のために、どの段階で止まったか。
- 出社側の作業:電話の取次ぎ、紙の送付、代理入力が増えていないか。
- 手戻り:誤った版の資料や入力漏れによる再確認があったか。
- 勤務時間:時間外の連絡や持ち帰り作業が増えていないか。
AIを使わなくても受注情報の伝え直しが減ったなら、その変更を維持する判断ができます。

共有手順が落ち着いた後に、文章を整える作業が残るなら、生成AIの利用を検討できます。
例えば、外部送信が認められた非機密の箇条書きを、引継ぎ文の下書きに整える用途です。
実際の担当者が原文と照合し、期限や対応状況が変わっていないかを確認します。
これは県内企業の導入実績ではなく、編集部の利用例です。
一方、勤務時間や賃金をAIの推測で埋める運用にはしません。
記録されていない時間は、本人と管理者が事実を確認する必要があります。
入力できる情報の決め方は、生成AIの社内ルールを整える記事で確認できます。
明日からできること:試行の終了日と振り返り担当者を決め、在宅側と出社側の両方から困った場面を集める。
栃木県内の相談窓口と過年度資料の見分け方
規程の変更とシステムの相談は、担当する専門分野が違います。
勤務時間や費用負担に迷う場合は、栃木働き方改革推進支援センターが相談先になります。
厚生労働省委託事業として、社会保険労務士などが中小企業事業主の労務管理上の相談に対応し、相談無料、秘密厳守と案内しています。
電話は0120-800-590、開所時間は平日9時から17時までです(年末年始を除く)。
2026年9月1日からは、労働時間特別相談窓口を開設したとの案内もあります。
相談時は、現在の勤務ルールと、社外で実施したい仕事の一覧を用意すると、確認事項を伝えやすくなります。
AIの使いどころや導入方法は、栃木県が設置したとちぎビジネスAIセンターでも相談できます。
公式サイトには個別相談やベンダーとのマッチング、伴走支援が掲載されています。
支援ごとの対象条件や費用は窓口に確認してください。
県内の他の機関は、AI導入の公的相談窓口一覧に整理しています。
なお、県の「働き方改革について」ページにある導入支援事業の事例集は、2021年度から2023年度の取組を紹介するものです。
掲載された年度の事業は過年度分であり、このページを2026年度の専門家派遣の受付案内として使うことはできません。
現在の募集状況が必要な場合は、県労働政策課などの最新案内で、年度と受付期間を確認します。
明日からできること:勤怠の相談か、情報共有やAI活用の相談かを分けて、窓口に伝える内容をメモする。
よくある質問
Q. 栃木の製造業や卸売業でもテレワークはできますか?
現物を扱う作業は現地に残りますが、受注確認や総務事務などは候補になります。
県の事例集を参考に、社外で進める仕事と、出社者が支える仕事を分けて判断します。
業種だけで可否を決める必要はありません。
Q. テレワークにはAIの導入が必要ですか?
必須ではありません。
資料の共有、承認、勤怠の記録が既存の仕組みでできれば、その状態で試行できます。
生成AIは、手順が整った後に残る文章作成などの補助として、必要性を判断します。
Q. 県のテレワーク導入支援は今も申し込めますか?
参照した県ページは過年度の事例集を紹介しており、2026年度の同事業の募集は確認できませんでした。
過去の募集条件で申し込めるとは判断せず、最新の県公式案内を確認してください。
労務管理の相談は、栃木働き方改革推進支援センターが案内しています。
まとめ
- 現地作業と社外で進める事務を分け、出社者に残る作業も確認する。
- 県の公開事例は、導入済みの取組と資料時点の計画を区別して読む。
- 勤怠、費用負担、情報共有のルールを整えてから試す。
- 待ち時間と手戻り、出社側の負担を記録し、AIを加える必要性を判断する。
最初に確認したいのは、会社に戻らないと進まない仕事が、なぜそこで止まるのかです。
紙の注文票が原因なら共有方法を、承認待ちが原因なら担当者と連絡方法を見直します。
県の事例集は、その切り分けを自社で始めるための材料になります。
社外でも進められる業務を整理したい場合は
AI導入ナビ 栃木では、栃木県内企業の業務整理やAI活用の進め方を相談できます。
現在の受注処理や引継ぎの流れをもとに、デジタル化する範囲を検討します。
労務上の判断や規程の確認は、専門家への相談と分けて進めます。
