結論: 栃木の保育園の人手不足対策は、採用、記録の電子化、生成AIの下書き利用の3つを分けて進めます。
理由: 県内の保育ICT事例で報告されているのは、出席確認や転記の負担軽減であり、保育士の代替ではないためです。
実行: 同じ出席情報をどこへ何度記入しているかを調べ、入力元と確認担当を決めます。
注意: 園児の安全判断や必要な職員配置を、生成AIの回答で決める運用にはしません。
対象読者:栃木県内の保育園や認定こども園の園長、運営法人の担当者
今日やること:出席簿に関わる記入先と、確認のために人が動く場面を書き出す
保育士を募集していても、今日の出席確認や連絡帳の仕事は待ってくれません。
システムを入れれば負担が減りそうでも、紙の帳票を残したまま入力先だけ増えれば、保育室を離れにくい状況は変わらないままです。
栃木市の認定こども園さくらは、出席状況を手元で確認する仕組みと、操作を担う事務スタッフを組み合わせてきました。
宇都宮市の公立保育所にも、出席簿の作成や集計を減らした公開事例があります。
この違いを生むのは、導入する機能と、導入後にやめられる作業の対応です。
生成AIを加える前に、その対応を確かめる必要があります。
※制度と公開資料の確認日は2026年9月27日です。
事例の報告時点と現在の運用を分け、以下の実務提案は編集部の案として示します。
結論:採用と記録の省力化は別々に進める
人員を確保する仕事と、既存の職員の事務を減らす仕事は、並行して進めます。
記録時間が短くなっても、園児を見守る職員が増えたことにはなりません。
一方で、採用の結果を待つ間にも、同じ情報の転記や確認の往復は見直せます。
栃木県が案内する「とちぎ保育士・保育所支援センター」は、県内の求人情報提供などを行う無料の職業紹介所です。
記録の改善については、こども家庭庁が公開する県内園の事例が参考になります。
両者を分けたうえで、生成AIに渡す仕事を絞ります。
| 困っていること | 先に検討する手段 | 取り違えない点 |
|---|---|---|
| 必要な時間帯に職員を確保したい | 支援センターで求人登録の手順を確認 | 掲載と採用成立は別 |
| 出席情報の確認や転記が重なる | 保育ICTで入力元と共有先を整理 | 電子化と帳票の廃止は別 |
| お知らせの文章を整える負担がある | 個人情報を含まない内容で生成AIを試す | 下書きと保護者への配信は別 |
ここでいう保育ICTは、出席管理や園内の情報共有などに使う情報システムです。
あらかじめ決めた項目の保存や集計が中心で、文章を生成するAIとは役割が異なります。
出席日数の集計は、まず集計機能で処理できるかを確かめるほうが自然です。

出典:栃木県の保育人材関連情報、とちぎ保育士・保育所支援センター、こども家庭庁の保育ICTラボ事業レポート
明日からできること:人を確保する課題と、事務の重複を減らす課題を分けて記録します。
認定こども園さくらの出席確認と役割分担
出席情報が画面に表示されるだけでも、人が確認に歩く回数を減らせる場合があります。
栃木市の認定こども園さくらの事例では、外遊び中にはインターフォンを使えず、出席状況を保育士に確認しに行く手間がありました。
そこで、手元の端末で状況を確認できるデジタル出席簿を作ったと説明しています。
ただし、端末を置けば全員がすぐ操作できるとは限りません。
同園は「オペレーター」と呼ぶ事務スタッフを置き、操作を覚える役割を担ってもらいました。
保育士が必要な情報を伝え、事務スタッフがお知らせを作成して配信する、という分担です。
保育士全員に複雑な操作を覚えてもらうことを、導入の前提にはしていません。
月約4時間は、どの作業の数字か
同じレポートには、連絡帳に関する持ち帰り作業を月約4時間削減したという園長の説明があります。
デジタル化前に、月末のコメントや出席日数の転記などにかかっていた時間を聞き取った結果です。
これは、その園の特定の作業についての聞き取りに基づく報告です。
栃木県全体の平均でも、生成AIだけで削減した時間でもありません。
この数字を自園の職員数に掛けて、削減時間や配置可能な人数を見積もることはできません。
自園で参考にするなら、まず「誰が入力し、誰が見て、誰が配信するか」を決めます。
たとえば、保育士が内容を確認し、事務担当が配信操作を担う方法が考えられます。
これは編集部の提案であり、同園の分担をそのまま導入できるという意味ではありません。
事務担当が不在の日の代替担当まで含めて、無理なく回るかを確認します。
出典:こども家庭庁掲載「認定こども園さくらに学ぶ保育ICT導入成功の秘訣」(令和7年度事業レポート)
明日からできること:お知らせの内容確認者、配信操作担当、担当不在時の代替者を決めます。
宇都宮市の事例で見る二重入力の見直し
操作担当を決めても、同じ記録を紙と画面へ写し続けるなら、負担は残ります。
宇都宮市の公立保育所について、コドモンは2022年6月に導入事例を発表しています。
西部保育園での実証を経て、同年1月から公立10施設へ順次導入したという内容です。
発表では、登降園時間の自動記録により出席簿の作成や集計が不要になり、延長保育の利用状況も正確に管理できるようになったと報告しています。
職員間で園児情報を共有する時間を増やせたという記述もあります。
一方、お知らせの一斉配信は当時の「導入予定」です。
ここから2026年現在の全園の利用機能や、削減時間を断定することはできません。
入力元と、残す必要がある帳票
自園で確認する対象は、入力の回数だけではありません。
保護者の打刻、電話で受けた欠席連絡、保育室で確認した出席状況が食い違うとき、誰が修正するかも必要です。
画面上の記録と実際の園児の所在確認を、同じものとして扱うわけにはいきません。
編集部の提案は、現在の出席簿から月末集計までをたどり、次の項目を埋める方法です。
- 入力元:最初に登降園時刻や欠席連絡を記録する場所。
- 訂正担当:打刻漏れや連絡変更を確認して直す人。
- 提出先:園内確認用なのか、市町への提出用なのか。
- 保存条件:保存すべき帳票と期間、電子保存の可否。
入力元は転記を減らすため、訂正担当は記録の食い違いを解消するために決めます。
提出先と保存条件は、市町の保育担当窓口や法人内の規程と照合します。
システムで出力できるという理由だけで、既存の帳票を廃止することはできません。

出典:コドモン「宇都宮市の公立保育所全10園にて保育ICTシステム一斉導入」(2022年6月14日発表)
明日からできること:出席情報の転記先を洗い出し、廃止できるか確認が必要な帳票に印を付けます。
生成AIは園児情報のない下書きから試す
文章を整える仕事が残る場合に、生成AIを検討します。
ただし、連絡帳には園児の体調や家庭の事情などが含まれます。
便利そうだからと、そのまま外部の生成AIサービスへ入力する運用は避けます。
利用規約やデータの保存、学習への利用、閲覧権限を法人で確認する前に、実際の園児情報を使う必要はありません。
以下は県内園の実施実績ではなく、編集部が提案する試行方法です。
まず、架空の行事のお知らせを使います。
氏名や写真を含まない文面でも、日付、持ち物、配信対象が意図どおり残るかを確認できます。
たとえば、入力する指示は次のように限定します。
以下は架空の園のお知らせです。
記載済みの日付、場所、持ち物は変更せず、保護者に伝わる短い文章に整えてください。
書かれていない条件は追加せず、不明な点は「要確認」としてください。
出力後は、担当者が元の文面と照合します。
生成AIに送迎ルールや参加条件を補わせず、園が決めた事実を確認してから配信します。
園児の発達評価、アレルギー対応、午睡中の安全判断、職員配置の充足判断は、この下書き試行の対象に含めません。
作成時間より、確認を終えるまでの時間
短い文章がすぐ出ても、日付の修正や条件の確認が増えれば、省力化にならない場合があります。
試行では入力、生成後の照合、修正、配信準備までの作業を記録します。
従来のひな形で作る場合と、同じ確認範囲で比べます。

間違いを直す手間が増えるなら、AIを使わず既存のひな形を整える選択で構いません。
園全体のルールを決める際は、生成AIへの入力と確認を分ける考え方も参考になります。
明日からできること:個人情報を含まない架空のお知らせを用意し、元の文面との照合項目を決めます。
求人掲載は支援センターの承認手順まで確認する
事務の見直しを進めても、欠員の補充は別に必要です。
とちぎ保育士・保育所支援センターの事業所向け案内では、「福祉のお仕事」から求人登録を行う手順が示されています。
新規の事業所登録と求人票の公開は、同時ではありません。
公式の流れは、事業所の新規登録、センターの確認と承認、承認メールの確認、求人票の申請、求人内容の確認と承認後の公開です。
登録しただけで求人が掲載されたと思い込まず、公開状態まで確認します。
不明点の問い合わせ先は028-307-4194、利用時間は平日9時から17時です。
祝日と年末年始は休みです。
求人票に「ICTで負担を減らしている」と書く場合も、実際の運用と照合します。
導入済みの機能と、今後試す予定の生成AIを混ぜて書くと、入職後の期待との違いが生まれます。
たとえば「出席簿への転記をなくした」など、実施済みの変更を具体的に伝える方法があります。
求人表現の整理は編集部の提案であり、採用を保証するものではありません。
明日からできること:求人票の公開状態と、記載した業務改善が現在の運用に合っているかを確認します。
よくある質問
Q. 保育ICTを入れれば、配置する保育士を減らせますか?
事務時間の短縮と職員配置の要件は別です。
ICTの導入だけを理由に人員を減らす判断はせず、適用される配置基準と実際の保育体制を所管窓口に確認します。
Q. 連絡帳を生成AIにそのまま入力してよいですか?
園児の体調や家庭の事情などを含むため、そのまま入力する試行は避けます。
法人のルールとサービスのデータ取扱条件を確認し、初期検証は実在の園児情報を含まない架空の文面で行います。
Q. 県内園の月約4時間という削減効果を、自園にも使えますか?
そのまま見込み値には使えません。
認定こども園さくらの連絡帳に関する持ち帰り作業の聞き取り値であり、全業務の実測値ではありません。
自園では確認や修正も含めて記録します。
まとめ
- 人員の確保と、出席確認や転記の省力化は並行して進めます。
- 認定こども園さくらの事例は、機能だけでなく操作担当の置き方も参考になります。
- 宇都宮市の事例を参考にする際は、自園で残す帳票と訂正担当を確認します。
- 生成AIは架空のお知らせで試し、照合を終えるまでの手間で評価します。
最初に確かめたいのは、今日の出席情報を、誰がどこへ写しているかです。
記録を増やさずに共有できる形を決めてから、文章の下書きをAIで補うかを選びます。
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