結論: 栃木県でものづくり補助金を探す際は、国の制度と県の生産設備支援を分けて確認します。
理由: 国の第23次公募の「製品・サービス高付加価値化枠」は、新製品や新サービスの開発を伴わない既存工程の改善を対象外としています。
実行: 投資目的を「新しく提供する商品やサービス」と「既存業務の効率化」に分け、公募要領と照合します。
注意: 国の第23次は2026年5月8日、県の令和8年度募集は6月15日に締め切られています。
対象読者:栃木県内で設備やAIシステムの導入を検討する中小企業の経営者と担当者
今日やること:検討中の制度の正式名称と公募回を見積依頼書に記録する
工場の検査工程にAIを入れたい。
その投資先として「ものづくり補助金」を調べると、国の制度と栃木県の似た名称の制度が見つかります。
どちらも設備投資に関わりますが、同じ申請書や条件で申し込めるわけではありません。
とくに、既存製品の検査を速くする計画と、新しい検査サービスを開発する計画では、国の制度での扱いが変わります。
設備の名前だけでは判断できません。
2026年9月15日に確認した公式情報をもとに、国の第23次公募を中心とした条件と県制度との違いを整理します。
掲載した募集はいずれも終了しており、現在受付中という案内ではありません。
結論:国のものづくり補助金と栃木県の設備支援は別制度
国の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。
一方、栃木県が令和8年度に募集したのは「ものづくり産業生産性向上支援補助金」です。
県の募集ページには、国の交付金を活用する旨も記載されていますが、全国公募のものづくり補助金と同じ制度という意味ではありません。
| 比較項目 | 国のものづくり補助金 | 栃木県の生産性向上支援補助金 |
|---|---|---|
| 確認した募集 | 第23次公募 | 令和8年度の事業計画募集 |
| 主な目的 | 革新的な新製品や新サービスの開発、海外需要開拓に必要な設備投資等 | 米国関税措置や中東情勢の影響に対応する生産設備導入 |
| 対象者の範囲 | 国内に本社と事業実施場所を持つ中小企業者等。業種や従業員数などの条件あり | 県内製造業の中小企業者等と中堅企業者。みなし大企業を除く |
| 申請締切 | 2026年5月8日17時、終了 | 2026年6月15日17時、終了 |
| 問い合わせ | 全国の事務局サポートセンター | 栃木県工業振興課ものづくり企業支援室 |
出典:国の公募要領掲載ページ、栃木県の令和8年度募集ページ。

国の総合サイトは、2026年8月7日に第23次の採択結果を公表しています。
9月15日の確認時点では、参照した総合サイトと公募要領ページに次回公募の日程は見当たりませんでした。
次回も同じ条件になるとは限らないため、過去の要領は準備用として読み、新しい募集が出たら差分を確認します。
県制度の詳しい概要や他の支援との使い分けは、栃木県の中小企業向け補助金とAI導入も参照できます。
明日からできること:社内資料に「国の第23次」か「栃木県の令和8年度」かを明記し、制度名の取り違えをなくします。
AI設備の導入と新製品開発の違い
「AIを使う設備だから対象になる」とは判断できません。
国の第23次公募の製品・サービス高付加価値化枠は、革新的な新製品や新サービスの開発に必要な投資を支援する枠です。
公募要領は、既存製品やサービスの生産工程を改善する事業を対象外と明記しています。
たとえば、既存製品の外観検査をAIカメラに置き換え、検査時間だけを短くする計画を考えます。
新製品や新サービスの開発を伴わないなら、この枠の対象には当たりません。
作業負担を減らす投資として意味があっても、制度の目的とは別の判断です。
一方、自社の検査技術を使い、従来は提供できなかった検査サービスを新たに開発する計画なら、開発内容を要領に照らす余地があります。
ただし、自社にとって新しいだけで十分ではありません。
同業他社での普及状況、顧客への新しい価値、開発の実現可能性などの確認が必要です。
以上は編集部による仮定の比較であり、採択事例や対象認定ではありません。

海外需要を開拓する計画には、別にグローバル枠があります。
海外投資、輸出、訪日客対応、海外企業との共同事業に関する要件が加わります。
「新製品開発に当たらないのでグローバル枠へ移す」という選び方はできません。
海外での需要や実施体制を含む、別の事業計画が必要です。
出典:第23次公募要領「2.3.1 補助対象事業枠」「2.5.2 グローバル要件」。
明日からできること:設備の機能説明とは別に、誰にどんな新しい商品やサービスを提供するかを一文で書きます。
書けない場合は、既存業務の効率化として他制度や自己資金での導入を検討します。
第23次公募の上限額と賃上げ要件
国の第23次公募では、製品・サービス高付加価値化枠の通常の上限額が従業員数で分かれます。
以下は大幅な賃上げによる上限引上げ特例を含まない金額です。
| 常時使用する従業員数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 1〜5人 | 750万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 |
補助下限額は100万円です。
補助率は中小企業が2分の1、小規模企業や小規模事業者、要領所定の再生事業者が3分の2です。
小規模事業者に該当する従業員数の基準は業種によって異なるため、上の上限額の区分とは分けて確認します。
ただし、上限まで受け取れるという意味ではありません。
採択後も経費の精査があり、申請額からの減額や全額対象外となる場合があります。
「上限額を引いた金額だけ用意すればよい」という資金計画にはできません。
第23次では、補助事業終了後3〜5年の計画について、次の基本要件も定めています。
- 付加価値額:営業利益、人件費、減価償却費の合計について、年平均成長率3.0%以上の目標を設定します。
- 賃金の増加:従業員1人あたり給与支給総額について、年平均成長率3.5%以上の目標を設定します。
- 事業所内最低賃金:主たる事業実施場所で、毎年、事業実施都道府県の最低賃金より30円以上高い水準の目標を設定します。
- 仕事と子育ての両立:従業員21人以上の場合は、一般事業主行動計画の策定と公表に関する要件があります。
これらは基準以上の目標を自社で設定し、その目標の達成を求める仕組みです。
賃金の増加と事業所内最低賃金には、未達時の返還規定があります。
返還免除や最低賃金の特例もあるため、自社への適用は要領本文で確認します。
また、応募時に従業員が0人の場合は申請できません。
栃木県内の工場が主たる実施場所なら、事業所内最低賃金は栃木県の最低賃金を基準に検討します。
取引先からの受注が増える想定だけで賃上げを約束せず、原材料費や人件費が増えた場合も会社全体で支えられるか、経理担当者と照合します。
出典:第23次公募要領「2.3.1」「2.4.1」「2.5.1」「2.6」。
明日からできること:従業員数、決算資料、賃金の記録を集め、設備担当者だけでなく経理担当者も検討に参加できる状態にします。
採択後も発注を待つ理由
国の第23次公募では、交付決定日より前の発注、契約、購入にかかった経費は対象外です。
ここでいう交付決定は、採択の発表とは別の手続きです。
採択された時点は補助金交付候補者であり、その後に交付申請と経費の精査があります。

見積もりの取得は準備できます。
単価50万円(税抜)以上の物件等では、原則として同一条件で2者以上の見積もりが必要です。
複数者からの取得が困難な場合には理由書が必要となるため、取れる見積もりと取れない理由を早めに整理します。
AIシステムの費用にも区分があります。
専ら補助事業に使う専用ソフトウェアや情報システムの購入、構築などは「機械装置・システム構築費」の確認対象です。
一方、クラウドサービス利用費は、専ら補助事業のために使う費用に限られます。
全社員が普段使う生成AIの契約費を、そのまま新規開発事業に計上できるとは限りません。
この制度では単価50万円(税抜)以上の機械装置等への設備投資が必須です。
加えて、補助対象経費の割合や経費区分別の上限もあります。
月額サービスの契約だけを見て申請可否を決めず、見積書を経費区分に分けて確認する必要があります。
出典:第23次公募要領「2.7.1 補助対象経費」。
明日からできること:見積もりに設備、システム構築、クラウド利用の内訳を求め、発注や契約は交付決定と要領の条件を確認してから行います。
栃木県内で相談するときの持参資料
制度の解釈と、AIで何を実現できるかは、相談先を分けます。
国の公募要領に関する問い合わせは、ものづくり補助金事務局サポートセンター(050-3821-7013)です。
県の生産設備支援については、栃木県工業振興課ものづくり企業支援室(028-623-3249)が窓口です。
AI導入の技術的な相談先としては、県が設置した「とちぎビジネスAIセンター」があります。
公式サイトには個別相談、ベンダーとのマッチング、伴走支援を掲載しています。
所在地は宇都宮市ゆいの杜1-5-40のとちぎ産業創造プラザ内です。
補助金の採択を保証する機関ではなく、料金や個別の支援範囲は相談時に確認します。
編集部としては、初回相談に次の資料を用意することを勧めます。
- 開発したい商品やサービスと、購入を想定する顧客の説明
- 現在の工程と、設備導入で変わる作業の図
- 機器やシステムの見積もり、希望納期、発注前かどうか
- 他の補助金への申請状況と、自己資金や借入の見通し
これらがあれば、技術の実現性と制度の適合性を混同せずに相談できます。
宇都宮でものづくり補助金を探す場合も、所在地だけで国の制度が市の制度に変わるわけではありません。
国、県、市のどの募集を検討しているかを伝えます。
県内の他の窓口は公的なAI導入相談先の案内で確認できます。
出典:国の公募要領掲載ページ、県の募集ページ、とちぎビジネスAIセンター。
明日からできること:問い合わせ先に正式な制度名を伝え、対象になりそうか判断できない経費を具体的に質問します。
よくある質問
Q. 栃木県の企業は国のものづくり補助金に申請できますか?
所在地が栃木県であることだけで対象外にはなりません。
国の要領が定める事業者、事業内容、従業員数などの条件を満たす必要があります。
第23次公募の受付は終了しているため、今後の応募は次回の公式案内を確認してください。
Q. ChatGPTの月額料金だけで申請できますか?
国の第23次では、単価50万円(税抜)以上の機械装置等への設備投資が必須です。
クラウド利用費にも専用利用などの条件があり、普段使う月額サービスの契約だけを理由に対象とは判断できません。
Q. 採択されたら設備を注文してよいですか?
国の第23次では、交付決定より前の発注や契約は対象外です。
採択と交付決定は別なので、事務局の通知と要領の条件を確認してから発注します。
まとめ
- 国のものづくり補助金と、栃木県の生産設備支援は正式名称も条件も異なります。
- 第23次の高付加価値化枠では、既存工程の改善だけでなく新製品や新サービスの開発が必要です。
- 上限額だけでなく、賃上げ目標、経費区分、交付決定後の発注という条件まで確認します。
AIカメラの見積書が手元にあるなら、まず、その設備で何を新しく提供するのかを書き添えます。
新規開発を目的にするのか、今ある検査作業を減らしたいのか。
その区別をつけたうえで、栃木県の窓口と国の事務局に、それぞれ該当する制度を確認できます。
AI導入の目的と検証方法を整理したい企業へ
AI導入ナビ 栃木は、株式会社Nexaが運営しています。
設備やシステムを選ぶ前の業務整理からご相談いただけます。
補助金の対象可否や採択については、制度の所管窓口で確認してください。
